zakkannist's diary

日々その時の雑感を書き綴ります。

どう応えたらいいのだろう。

朝早い
雨の休日。

乗った電車の
真向かいの席に
女性がひとり座った。

彼女は
座るや否や
ある物を取り出した。


いや、違った。

片手にまるまる
収まっていて
よく見えない。

彼女は
握りしめたその手から
力を抜いたかと思うと、
ばらし始めた。

小さくて四角い
黒いものだけを
集中的に取り出す。

そして、
ある程度取り出し終えると
その固まりを一気に口の中へ。

よく見ると、
チョコチップが
埋め込まれた
スコーンがあった。


チョコの部分だけでなく
スコーン本体にも
取りかかり始めた
彼女と目が合う。

「さっきから
何を見続けているのですか?」

もちろん
そんな言葉は聞かれなかった。

彼女は今
スコーンを食べることに
一番の興味があるのだ。

でも、ふと思った。

たとえ言われなくても
心に訴えられている感じがした。


僕はどう応えたらいいのだろう?

「すいませんでした」

「いや、余りに美味しそうなので」

「僕にも少し
シェアしてもらえませんか?」


彼女が抱える
パン屋の袋の中身が
さらに気になった。