zakkannist's diary

日々その時の雑感を書き綴ります。

事実を逆推理する。

一日が動き出す朝は
何かとせわしない。

車が断続的に通る道路を、
一人の女性が
表情からも分かる全速力で
横断した。

通りの反対で信号を待ち
女性とすれ違うまでの僅かの間、
自分は女性の行く先に
思いはせていた。

女性はなぜ、
赤信号を無視してまで
道路を渡ったのだろう?

答えはすぐに明らかになった。

女性は、
通りの反対側で
停車中のバスに乗りたかったのだ。

女性は無事に
お目当てのバスに乗ることができた。

歩行者用の信号が青に変わった。

後ろを振り返り、
女性が乗ったバスを見ると、
バスはまだ動こうとしない。

自分は
横断歩道を歩きながら思った。

結果としてみれば、
信号無視しなくても
女性はバスに乗れたのではないか?

ただし
通りの反対側では
見て取りづらい状況があったのは
確かである。

停車中のバスには
長くもなければ短くもない距離で
乗車中の客の列ができていた。

列はバス本体に
すっぽりと隠されていた為、
通りの反対側で
信号を待つ女性としては
列の長さをうかがい知れず、
バスが今にも出発してしまう気を
持っていたかもしれない。


片側では知り難いことがある。

できれば、
両側を知り得る状況を作りたい。


歩道を渡り切って
駅の階段へと向かう時、
女性を乗せたバスは出発した。

走行者の列が
絶え間なく続いていた。