何もいいことないかい、子猫チャン
或る朝のこと。
駅への道すがら、
人目をはばかることなく
歩道の隅で横たわる子猫を見かけた。
見た時の印象は、
あの世で安らかにといったものだったが、時が経つにつれて
いや、ちょっと待てよというものに変わってきている。
よく考えてみると、
子猫を見かけた前日の夜は
夜鳴きがいつもと比べて多く聞かれた。
あまりにも頻繁だったので、
サイレンの音に聞き間違えてしまうほどでもあった。
真夏の夜の夢。
夜鳴きしていた猫が今回の主人公であったかどうかは定かではないが、
夢が夢のままで終わっていないことを祈りたい。
子猫チャン。
仮に、君が夜鳴きしていた本人だったとしたら、こう言おう。
何かいいことはあったんだね、子猫チャン。
あの世で安らかに。
前提条件は崩れないのであった。